2014年8月のコンサート

8/5 Tue 19:00 ザ・シンフォニーホール
佐渡裕指揮 PMFオーケストラ セルゲイ・アントノフ(vc)
バーンスタイン:キャンディード序曲
チャイコフスキーロココ変奏曲
ショスタコーヴィチ交響曲第5番

マゼール指揮の予定でしたが、マゼールが亡くなったので佐渡裕に変更。曲目は、マゼール自作の「モナコ・ファンファーレ」が「キャンディード」に変わりました。結果、他はそのまま。最初から佐渡さんが決めたみたいなプログラムになりました。ちなみに佐渡さんはPMF出演は第2回だかで振って以来とのこと。

キャンディード序曲、いきなり元気のいいでかい音。そうそうこれこれ。PMFはこれでなきゃ。佐渡さんも煽る煽る。
ロココ変奏曲 アントノフのチェロはとても音がきれいでした。ソロのところではテンポを落としてゆっくり歌ってましたが、そういうところにこの人の持ち味が出てたように思います。アンコールとして最終変奏を繰り返し。
ショスタコーヴィチは、第1楽章の序奏を速めに、主題でテンボを落としたり、フィナーレの最初を猛スピードで入って、最後も結構速かったりと、特徴的な解釈。この曲を得意とする佐渡さんだけに、第1楽章の展開部の大迫力とか、第2楽章のゴリゴリいうチェロ(配置が左1Vn右Vcだったのもそのせい?)とかキテました。アダージョもしっかり歌ってて良かったです。今年は突出してうまい人というのはいなくて、多少乱れもあったんですが、全体としてはテンション高くて楽しめました。





8/26 Wed 19:00 神戸文化ホール 大ホール
パスカル・ロフェ指揮 NHK交響楽団 堤剛(vc)
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲
[アンコール]バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番〜メヌエット
チャイコフスキー交響曲第4番
[アンコール]ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第1番 Op.46-1

N響の近畿公演の一環で、橿原、大津、京都、神戸と回るようです。N響を生で聞くのは久しぶりでしたが(だって地方公演は高くて曲がつまらなくて知らない指揮者ばっかりだし)、テレビで見てる人を実際にステージで見るとテンション上がりますね。まあ2階の後ろの方だったんで小さくしか見えませんでしたが。今日はコンマスは堀さん、チェロトップは藤森さんでした。他はフルートの神田さんとかオーボエの茂木さんとか。

ドヴォルザーク、堤さんのチェロ、すばらしいですね。先日のPACのドンキホーテもそうでしたが、風格があるとはまさにこのこと。御年72歳ですが、力強い音だし、、第2楽章のシンプルなメロディあたりを心持ち遅めに歌うと、尋常じゃない説得力があります。アンコールのバッハがまた良かった。自然に弾む生き生きした音楽。チェロのアンコールはサラバンドとかが多いですが、この曲はいいですね。

後半はチャイコフスキーの4番、こちらはロフェとN響の音楽。いやー、今のN響ってすごいんですね。異次元のアンサンブルの良さ。これは指揮のせいもあるんでしょうが、フレージングがものすごく鮮明に見えるので 混じり気なし感がすごい。ここ数年聞いた外来オケでも、こんなに揃ってるオケはなかったです(ベルリン・フィルとかは聞いてませんよ)。第3楽章なんて唖然としました。ところが、面白いことに、これがまったく血湧き肉躍らない音楽。可能な限りテンポを動かさないという方針らしきロフェの指揮のせいもあると思いますが、非常に醒めた音楽。チャイコフスキーの4番ですよ。この曲がこんな風になるとは思いませんでした。でも実は私、こういう演奏嫌いじゃありません。ケーゲル的な冷たさっていうんでしょうか。アンコールのスラブ舞曲も正確無比なんですが、全然興奮しない。面白い。


ロフェの指揮

2014年7月のコンサート その2

7/18 Fri 19:00 ザ・シンフォニーホール
ハンスイェルク・シェレンベルガー指揮関西フィル
セバスチャン・ジャコー(fl)

モーツァルト魔笛序曲
C.P.E.バッハ:フルート協奏曲
[アンコール]ドビュッシー:シランクス
ショスタコーヴィチ交響曲第5番

シェレンベルガーの指揮を聞くのは初めてでしたが、いいですね。魔笛序曲は、速めのテンポで爽快な演奏。弦もしっかりしていて良かったです。C.P.E.バッハは面白い曲。ジャコーのフルートは、私の席の関係か(いつもの通り3Fバルコニーなので)やや音が小さく聞こえましたが、うまいです。フィナーレとかすごかったですね。アンコールのシランクスは、神秘的な茫漠とした感じではなく、はっきり分節した演奏。
ショスタコーヴィチは、荒いところもありましたが迫力のあるいい演奏でした。演出としては、普通はテンポを落とすところで落とさないことが多かったかと思うんですが、せわしない印象はありませんでした。関西フィルは、弦の音程が揃ってないところがまあまありました。第3楽章のオーボエ・ソロがうまかったです。シェレンベルガー指揮でさぞ緊張したでしょう、などというのは素人考えですかね。

7/19 Sat 15:00 フェスティバルホール
ユベール・スダーン指揮大阪フィル
シューベルト交響曲第5番
ブルックナー交響曲第4番

シューベルトは、流れるようにやるのではなく、アクセントを強調して(指揮の身振りも大きかったです)随所に引っかかりを作ったなかなかユニークな演奏でした。シューベルトらしからぬ、と言ってもいいかもしれません。第三楽章で、トリオの前後に全休止を入れて、主部とトリオのテンポもはっきり変えていたのも特徴的。この曲、のんきなようで結構短調のところも多いので、全体に劇的な性格をきわだたせようとしたんでしょうか。

大阪フィルでブルックナーの4番はパーヴォ・ヤルヴィ以来だったそうです。スダーンのブルックナー、良かったです。前へ前へという推進力が気持ちいいし、迫力も十分だし、弦はよく歌ってとても表情豊か。面白かったのは、ときどき民族舞曲風に跳ねるようなリズムを強調したりするところ。この曲、こういうところもあったんだ、という驚きもありました。ミスはまあ多少あったんですが、伝わるものはちゃんと伝わったんで、全然OKです。


7/24 Thu 19:00 ザ・シンフォニーホール
アラン・ブリバエフ指揮 日本センチュリー響 イアン・バウスフィールド(tb)
レスピーギ組曲「鳥」
ブルジョワトロンボーン協奏曲Op.114
シベリウストゥオネラの白鳥
ラヴェル組曲マ・メール・ロワ

ブリバエフはいい指揮者だと思います。そしてセンチュリーはやっぱりうまいし、安定しているし、音が美しいですね。でも客の入りは6割ぐらい。毎回ほぼ満員の京響やPACはもちろん、在阪の他のオケに比べても結構差があります。どうしてでしょうね。チケットの値段設定?指揮者や曲目が地味だから?営業活動が足りない?
今回のマ・メール・・ロワなんてすばらしかったです。日本のオケではなかなか聴けない洗練された音。鳥も良かったです。トゥオネラは、イングリッシュホルンは見事でしたが、ややリズム感が縦割りな感じ。ブルジョワ Derek Bourgeois のトロンボーン協奏曲は、超絶技巧はわかるけれど音楽的にはガチガチの古典的な協奏曲ですね。トロンボーンを吹いている人には人気がある曲のようですが、正直、私にはあまり面白くなかったです。あと、いわゆるトロンボーンならではみたいな、朗々とした歌とかグリッサンドがほとんどなかったのは、なんか理由があるんでしょうかね。



2014年7月のコンサート

7/5 Sat 14:00 ザ・シンフォニーホール
シャンバダール ベルリン響 リシツァ(pf)
シューベルト:未完成
ベートーヴェン:皇帝(リシツァ)
[アンコール]シューベルト=リスト:アヴェ・マリア、魔王、水車職人と小川、リスト:鐘
ベートーヴェン:運命
[アンコール]ペールギュント〜朝、フィガロ序曲、ハンガリー舞曲第5番、ニムロッド

運命、未完成、皇帝なんていう演奏会、クライバーが振るとかでもない限り、まあ行こうとは思わないんですが、リシツァが出るというのと、しょっちゅう来日しているシャンバダール指揮ベルリン響というのはいったいどんな音楽をするんだろうと思って行ってきました。
いやー、結構下手ですね、このオケ。ザンデルリンクの東ベルリン響(現コンツェルトハウス響)じゃなくて、西ベルリンの、シュトルツのレコードとかのあるオケなんですが、未完成のオーボエの最初の音から危なっかしい。ホルンの人はうまかったんですが、他の管楽器はわりととちってました。アンサンブルもアバウトだし、弦も運命とかで速い動きになるととたんに音が薄くなるという惨状。シャンバダールは、スワロフスキーとジュリーニに学んだとかいうものすごく立派な経歴の人なんですが、解釈は可もなく不可もなし。音色はなかなかいいのでそれなりに形にはなっていましたが、正直、運命と未完成はつまらなかったです。
皇帝もねえ。リシツァは、確かに指は速く回るんでしょうけど、ベートーヴェンはそれだけじゃさまにならないんだなあというのがよくわかりました。速いところはいいし、2楽章みたいなシンプルな歌のところもそれなりに歌ってましたが、そうじゃないところは内容が薄い感じ。あと、音がきれいじゃなくて、テンポの移行がぎこちない。
ただ、リシツァもオケもサービス精神はすごかったですよ。上に書いた通り、ソリストのアンコールが4曲、オケのアンコールが4曲、リシツァもリストだと俄然生き生きしているし、オケのアンコールは簡単な日本語もしゃべるらしいシャンバダールが、ハンガリー舞曲の途中で(!)曲紹介をするなど、大いに盛り上げていました。結局午後2時に始まって、終わったのが5時、9割ぐらい入っていたお客さんは、大いに満足していたようなので、良かったんじゃないでしょうか。
私は…こういうプログラムならもう行かないと思いますが、軽騎兵序曲とかペルシャの市場とかを並べたプログラムなら行っちゃうかも。

7/8 Tue 19:00 いずみホール
飯守泰次郎指揮 関西フィル
イヴァン・ポディオモフ(ob)
Rシュトラウス
カプリッチョ弦楽六重奏曲&月光の音楽
オーボエ協奏曲
[アンコール]バッハ:オーボエ協奏曲ニ短調BWV1059〜第2楽章アダージョ
ドン・ファン
サロメの踊り

正直、カプリッチョの2曲が聴きたくて行ったという部分が大きいんですが(これがたとえばティルとかなら絶対チケット買ってなかった)、これががっかりでした。弦楽合奏で演奏された六重奏曲はザラザラだし、月光のホルンはへろへろ。このところうまくなっている印象が強かった関西フィルですが、20年前に戻った感じ。今度「変容」がありますが、ちょっとチケット買うのを躊躇します。
オーボエ協奏曲のポディオモフは本当にうまかったです。バンベルク響の首席だそうですが、やわらかくて表情豊かな音で、堪能しました。アンコールのバッハは、最後が終始せずにそのまま第3楽章へ行く曲ですが、そのまま終わってました。後半のドン・ファンサロメは、前半とはうってかわっての熱演でなかなか良かったんですが、結局個人的には「カプリッチョ」の悪印象を最後まで引きずった形となりました。

7/12 Sat 15:00 ザ・シンフォニーホール
スラットキン リヨン管 五嶋龍(vn)
キャンディード序曲
スペイン交響曲
サン=サーンス交響曲第3番 オルガン付き
[アンコール]天国と地獄序曲〜後半

3階バルコニーのD席(最低ランク)を買ったんですが、それでも9000円(最高は18000円)というコンサート。アメリカ人だからってことでしょうか、最初はキャンディード序曲。ただ、スラトキンは佐渡さんみたいなイケイケじゃなくて、走らず、エスプレッシーヴォせず、弦は軽く透明で、きっちり端正な演奏。これってこういう曲か?と言われると考えてしまいますが、上質の音楽ではあると思いました。
スペイン交響曲五嶋龍さんは文句なしにうまいですね。ただ、龍さんもオケもとてもきまじめな音楽作りだったので、ブラームスとかショスタコーヴィチとかのほうが合ってたかも、とか思いました。
サン=サーンスも良かったです。音色もきれいでバランス良く、気品のある演奏。ただ、チラシとかにオルガン奏者の名前が書いてなかったのは手落ちですね。1000円の有料プログラムを売るのは別にいいですが、それを買わないとオルガニストの名前さえわからないというのはどんなもんでしょう。名古屋・横浜・東京での同曲は石丸由佳さんという人でした。
アンコールは、天国と地獄序曲の後半。スラトキンは客席を指揮してラデツキー行進曲ばりに手拍子を求めていました。それでも音楽はとても上品というのが妙にアンバランスで面白かったです。

2014年6月のコンサート

6/11 Wed コパチンスカヤ&リフシッツ
フェニックス・ホール

下に書きました。

6/13 Fri 関西フィル第257回定期演奏会
ワーグナージークフリート第3幕
ジークフリート…ジャンルカ・ザンピエーリ(t)
ブリュンヒルデ…畑田弘美(s)
エルダ…竹本節子(a)
さすらい人/ヴォータン…片桐直樹(bs-br)
飯守 泰次郎指揮
http://www.kansaiphil.jp/modules/concert/index.php?content_id=689

ジークフリート役はおなじみの竹田昌弘さんの予定だったんですが、体調不良とのことでザンピエーリが急遽代役として登場しました。このザンピエーリが良かった。この演奏を引っ張っていく感じでした。関西フィルも熱い演奏で良かったです。飯守さんの指揮するワーグナーはやっぱりいいですね。

6/14 Sat 15:00 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
兵庫県立芸術文化センター管弦楽団第71回定期演奏会
シュテファン・ザンデルリンク指揮
有希・マヌエラ・ヤンケ(vn)
コダーイ:ガランタ舞曲
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番
[アンコール]バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番〜アンダンテ
ラフマニノフ:交響的舞曲
http://hpac-orc.jp/concert/20140613.php

ガランタ舞曲はカラフルな音としっかりとした足腰でいい演奏でした。興奮しない感じがお父さんと似ているかな?
バルトークの協奏曲、ヤンケのヴァイオリンは朗々とした音でうまいです。特に情熱的とか鋭いとかいう演奏ではなく、あえていえば正統的という感じ。ラフマニノフの交響的舞曲も良かったです。

6/24 Tue 19:00 いずみホール
ディードリッヒ、シューマンブラームス:FAEソナタ
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1〜3番
[アンコール]シューマン:ロマンスイ長調Op.94-2
イザベル・ファウスト(vn) アレクサンドル・メルニコフ(pf)

ファウストのヴァイオリンはヴィブラート少なめで、音そのものはやや細身で正確な音程の、今風のヴァイオリン。それに対してメルニコフは大柄でロマンティックで音色の幅の広い、ロシアの巨匠的ピアノ。そのスタイルの違いが、面白くもあり違和感もあり、やっぱり面白いというリサイタルでした。FAEソナタの全曲は珍しいので聴けて良かったですが、まああまり演奏されないのもわかるかな、という感じ。

2014-06-11 コパチンスカヤ&リフシッツ(フェニックスホール)

C.P.E.バッハ:幻想曲 嬰ヘ短調 Wq80
シマノフスキ:神話
シェーンベルク:幻想曲Op.47
−−−休憩−−−
プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
[アンコール]ベートーヴェン:クロイツェル・ソナタ〜第3楽章
パトリシア・コパチンスカヤ(vn)
コンスタンチン・リフシッツ(pf)
2014年6月11日 19時 フェニックスホール

最初のC.P.E.バッハの幻想曲ははじめて聴きました。変な(でも面白い)曲ですねー。気まぐれにふらふらさまよい歩くピアノに、ヴァイオリンが2,3音の断片的な音型をときどきかぶせていくみたいな曲。コパチンスカヤは、なんとピアノの後ろに立って弾いてました。プレトークで伊東信宏さんがおっしゃるには、「ヴァイオリンはこの曲では影のような存在と彼らは考えている」とのこと。

シマノフスキの『神話』は名曲で録音もたくさんあります。たいていの演奏では神秘的な感じを強調して、どちらかというとメリハリや表情を抑えめに弾くことが多いと思うんですが、コパチンスカヤはかまわず感情を濃厚に乗せた演奏。シェーンベルクも同様で、こんなにロマンティックに情熱的な演奏が可能だとは思いませんでした。もうシェーンベルクといえば楽譜通り弾くだけでありがたいという時代は遠い昔なんですね。

プロコフィエフは、最初からもう思ってたのと全然違う。冒頭のヴァイオリンの半音上昇の2音目にものすごく強いアクセントをつけたり、第1楽章終わりの「墓場の風のように」と作曲者が語ったというスケール上下行にはっきりした強弱をつけたり。終楽章なんて、もう踊りださんばかり。

熱烈な拍手に応えて笑顔のコパチンスカヤが小走りに出てきてアンコール。リフシッツがバーーーンと和音。おおっ、クロイツェル!これがまたのりのりのすごい演奏でした。ピアノとの本当に楽しそうな掛け合いで、どのフレーズがどういう感情を表してるか、コパチンスカヤの顔にもちゃんと現れていて(たとえば「楽しい−!」とか「だって…」みたいな表情をするんです)、実にエキサイティングで面白かったです。

本当に個性的な演奏をする人ですが、自分はこの曲はこう言ってると思う!というのを確信をもって弾いている感じがするので、こっちが思っている曲のイメージと違っていても説得力がありますね。私は大好きです。まだまだ大阪では知名度がないのか、今回は、あの小さなフェニックスホールに空席がありましたが、次回はチケットが取れないぐらいになる可能性もあると思います。皆さん次回来たらぜひ聴いてください。

以下アフィリエイト
コパチンスカヤといえばこれ。ラプソディア

なんとファジル・サイとのデュオ。

バルトーク、エートヴェシュ、リゲティ。20世紀ハンガリー作品集。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ほか。コパチンスカヤにしては意表を突く曲目ですね。

ストラヴィンスキープロコフィエフの協奏曲。今回はN響プロコフィエフを弾きました。


そのほか(amazon検索結果)
コパチンスカヤ

2014年5月のコンサート

5/17 Sat PAC定期 ロッセン・ミラノフ指揮 浜田理恵(s)
ラヴェル: 道化師の朝の歌
ドビュッシー: 海
ショーソン: 愛と海の詩
ラヴェル: ダフニスとクロエ第2組曲
[アンコール]ベルリオーズ:ラコッツィ行進曲

ミラノフはいい指揮者ですねー。道化師の朝の歌の主部の跳ねてる感じ、中間部でファゴットのレシタティーフと合いの手をテンポをちょっとずらす感じとか絶妙。愛と海の詩を聴けたのは貴重でしたが、歌詞カードも字幕もなかったのは残念。

ミラノフが副指揮者を務めるフィラデルフィア管と演奏したショスタコーヴィチ15番&ウィリアム・テル序曲と、ブラームスの1番。CDではなくダウンロードのみです。

5/24 Sat 14:30 広上淳一指揮 京響 川本嘉子(vl)
ベルリオーズ:ローマの謝肉祭
プーランク組曲「牝鹿」
ベルリオーズ:イタリアのハロルド

相変わらず人気の京響、今回も大満足です。大好きなイタリアのハロルド(幻想より好きです)が関西フィルに続いて2回も聴けるとは。関西フィルの明るい響きに対して、京響のハロルドはタイトで精悍なアンサンブル。川本さんのヴィオラも良かったです。牝鹿もよく跳ねて楽しかったです。元気の出る演奏会でありました。

5/28 Wed 19:00 プレトニョフ(pf)
兵庫県立芸術文化センター大ホール
シューベルトソナタ第4番、第13番
バッハ:イギリス組曲第3番
スクリャービン:24の前奏曲Op.11
[アンコール] スクリャービン:練習曲Op.2-1

スクリャービンが絶品でした。第1番の和音の一音ごとに全部色が違う。シューベルトやバッハとは全然違う音で、ピアノから雲みたいなざわざわ、もやもやした(いい意味で)ものが発生して漂うみたいな不思議な感じでした。テンポ・ルバートも絶妙。スクリャービン以外ではシューベルトの13番が良かったです。シューベルトスクリャービンに比べると、かなりくっきりした演奏。4番はちょっと打鍵がきついかなと思ったんですが、私の席が最前列だった(自慢してすみません)せいかもしれません。とにかくプレトニョフの健在はうれしい限りです。


5/29 Thu 19:00 イオン・マリン 大阪フィル定期
ベートーヴェン交響曲第2番
ブラームス交響曲第4番

うーん。正直この人何がいいのかわかりません。ときどきものすごいアゴーギクを付けるんですが、いかにも底が浅く思えます。音は大きいけど一本調子な音楽にしか聞こえません。経歴は立派ですし、大フィルにも3回も呼ばれて、しかもこんな巨匠っぽい名曲プログラムを振ってるんですが、何か私にわからない良さがあるんでしょうか。

2014 最近行ったコンサート2

3/21 PAC定期 フェドセーエフ
ベートーヴェン交響曲第4番
チャイコフスキー交響曲第4番
[アンコール]チャイコフスキー:弦楽セレナード〜ワルツ
白鳥の湖』〜スペインの踊り
ベートーヴェンは速くもなく遅くもなくの中庸なテンポで、フェドセーエフにしては普通かなと思ったら、第一楽章の再現部に入るところものすごくテンポを落として、5番の終楽章へのブリッジみたいにやってくれました。ベーレンライター版使用。
 チャイコフスキーは第1楽章のテンポの構成が指揮者によって結構違っていて面白いんですが、フェドセーエフは遅めのインテンポで始めて、第二主題が終わって長調になるあたりでテンポを上げてました。そのまま展開部、再現部へ進む感じ。第2楽章はトリオでぐっとテンポを遅くしていたのが印象的。そのままアタッカで第3楽章(見事なアンサンブル)へ行くのはちょっと珍しいですね。アタッカではなく休止をおいてフィナーレ。最初の賑やかな部分がおわって、木管が「白樺が立っていた」を吹くところで、食い気味に入っていくのがまた独特。二回目に弦で出てくるところでも食い気味でした。ただ、こういう風変わりな演出をしてもあざとく感じられないのは人徳でしょうかね。
 アンコールの弦楽セレナーデのワルツは、濃い表情でドラマティックな演奏でした。コーダやや遅めなのが余情を感じさせて良かったです。「スペインの踊り」はスカッとしました。

4/5 Sat 15:00 井上 大阪フィル ショスタコーヴィチ

4/5-11 METライブビューイング イーゴリ公
下に書きました。

4/8 庄司紗耶香&メナヘム・プレスラー
いずみホール
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.454
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのための二重奏曲 イ長調 op.162 D.574
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番 ニ長調 op. 137-1, D. 384
ブラームス:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番 ト長調 op.78「雨の歌」
[アンコール]ドビュッシー亜麻色の髪の乙女
ショパンノクターン第20番
ブラームス:ワルツ第15番
ショパンマズルカ第11番Op.17-4

プレスラーは90歳!まさかこの年で来日してくれるとは。正直、指の回りとかパワーとかは若い人と同じというわけにはいかないんですが、そのハンディを上回る良さがあるから庄司さんも共演しているわけですし、われわれも聴きに行くわけです。実際、指が速く回らなくても大丈夫な曲が選ばれていたし、庄司さんの解釈も全体に穏やかなテンポで、多少プレスラーに合わせていたんだと思います。でもそれを窮屈とは全然感じませんでした。

4/12 Sat 15:00 PAC定期 佐渡裕指揮
グリンカルスランとリュドミラ序曲
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ドミトリー・メイボローダ(pf)
[アンコール]ラフマニノフ前奏曲Op.32-5&Op.23-5
チャイコフスキー:悲愴
[アンコール]ヨハン・シュトラウス&ヨゼフ・シュトラウス:ピチカート・ポルカ
[アンコール]ヨハン・シュトラウスII世:トリッチ・トラッチ・ポルカ

ただでさえ人気のPAC管ですが、今回は佐渡さんの指揮、しかも人気曲ばかりということで早々と売り切れていました。演奏は言うことないでしょう。メイボローダはうまいし、情熱的で彫りの深い佐渡さんの指揮はこういう曲にはぴったり。しかもアンコールも大サービス。

4/19 イーサッキラ指揮名古屋フィル 三浦文彰(vn)
サロネン:ギャンビット
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 オリジナル版
アンコール パガニーニ:パイジェルロの『水車小屋の娘』より「うつろな心」による変奏曲
シベリウス交響曲第5番 オリジナル版

名古屋まで遠征しました。まさかシベリウスの5番とヴァイオリン協奏曲の初稿版が、それも1度の演奏会で聴けるとは思いませんでした。しかし一番驚いたのは三浦さんでした。もううまいのなんの。改訂版よりもだいぶ難しそうな初稿を軽々と、しかも面白く弾きこなしてしまうんですから。アンコールに弾いてくれたパガニーニがまたすごかったです。とにかくピチカートで音階を弾くところを、グリッサンドなみの速さで弾いてしまうのには唖然。

両曲の初稿についてはヴァンスカ盤が出たころに言い尽くされてますが、いろいろ興味深いです。協奏曲の初稿はとにかくこれでもかとヴィルトゥオーゾ的な要素が盛り込まれていて、最初は本当に北欧風のパガニーニみたいなのが書きたかったんだろうなと思いました。これを改訂してあの決定稿が出来上がったということに感心します。5番の方は、初稿では第1楽章の最初と最後が、いつの間にか始まっていつの間にか終わる感じになっているのに対して、決定稿では冒頭が堂々とした感じになっていて、最後は旧第2楽章と一体化してしまっているので、このいつのまにか感が減退しているというのが面白いです。この、いつのまにかはじまっていつのまにか終わるというのは、4番や6番と共通した傾向なんですが、5番では多少迷いがあったということでしょうか。

名古屋フィル、いいオーケストラになってますねえ。うまいし、響きもきれいだし。曲が曲だけになかなか難しいですが、イーサッキラも腕の確かな指揮者じゃないかと思います。

4/25 Fri 19:00 下野/京響
ドヴォルザーク三部作
ヤナーチェクシンフォニエッタ

4/29 14:00 デュメイ 関西フィル
ジェラール・コセ(vl)
イタリアのハロルド
[アンコール]バッハ(コセ編曲)無伴奏チェロ組曲第2番〜プレリュード
[アンコール]ビゼーアルルの女第1組曲〜アダージェット