2014年7月のコンサート

7/5 Sat 14:00 ザ・シンフォニーホール
シャンバダール ベルリン響 リシツァ(pf)
シューベルト:未完成
ベートーヴェン:皇帝(リシツァ)
[アンコール]シューベルト=リスト:アヴェ・マリア、魔王、水車職人と小川、リスト:鐘
ベートーヴェン:運命
[アンコール]ペールギュント〜朝、フィガロ序曲、ハンガリー舞曲第5番、ニムロッド

運命、未完成、皇帝なんていう演奏会、クライバーが振るとかでもない限り、まあ行こうとは思わないんですが、リシツァが出るというのと、しょっちゅう来日しているシャンバダール指揮ベルリン響というのはいったいどんな音楽をするんだろうと思って行ってきました。
いやー、結構下手ですね、このオケ。ザンデルリンクの東ベルリン響(現コンツェルトハウス響)じゃなくて、西ベルリンの、シュトルツのレコードとかのあるオケなんですが、未完成のオーボエの最初の音から危なっかしい。ホルンの人はうまかったんですが、他の管楽器はわりととちってました。アンサンブルもアバウトだし、弦も運命とかで速い動きになるととたんに音が薄くなるという惨状。シャンバダールは、スワロフスキーとジュリーニに学んだとかいうものすごく立派な経歴の人なんですが、解釈は可もなく不可もなし。音色はなかなかいいのでそれなりに形にはなっていましたが、正直、運命と未完成はつまらなかったです。
皇帝もねえ。リシツァは、確かに指は速く回るんでしょうけど、ベートーヴェンはそれだけじゃさまにならないんだなあというのがよくわかりました。速いところはいいし、2楽章みたいなシンプルな歌のところもそれなりに歌ってましたが、そうじゃないところは内容が薄い感じ。あと、音がきれいじゃなくて、テンポの移行がぎこちない。
ただ、リシツァもオケもサービス精神はすごかったですよ。上に書いた通り、ソリストのアンコールが4曲、オケのアンコールが4曲、リシツァもリストだと俄然生き生きしているし、オケのアンコールは簡単な日本語もしゃべるらしいシャンバダールが、ハンガリー舞曲の途中で(!)曲紹介をするなど、大いに盛り上げていました。結局午後2時に始まって、終わったのが5時、9割ぐらい入っていたお客さんは、大いに満足していたようなので、良かったんじゃないでしょうか。
私は…こういうプログラムならもう行かないと思いますが、軽騎兵序曲とかペルシャの市場とかを並べたプログラムなら行っちゃうかも。

7/8 Tue 19:00 いずみホール
飯守泰次郎指揮 関西フィル
イヴァン・ポディオモフ(ob)
Rシュトラウス
カプリッチョ弦楽六重奏曲&月光の音楽
オーボエ協奏曲
[アンコール]バッハ:オーボエ協奏曲ニ短調BWV1059〜第2楽章アダージョ
ドン・ファン
サロメの踊り

正直、カプリッチョの2曲が聴きたくて行ったという部分が大きいんですが(これがたとえばティルとかなら絶対チケット買ってなかった)、これががっかりでした。弦楽合奏で演奏された六重奏曲はザラザラだし、月光のホルンはへろへろ。このところうまくなっている印象が強かった関西フィルですが、20年前に戻った感じ。今度「変容」がありますが、ちょっとチケット買うのを躊躇します。
オーボエ協奏曲のポディオモフは本当にうまかったです。バンベルク響の首席だそうですが、やわらかくて表情豊かな音で、堪能しました。アンコールのバッハは、最後が終始せずにそのまま第3楽章へ行く曲ですが、そのまま終わってました。後半のドン・ファンサロメは、前半とはうってかわっての熱演でなかなか良かったんですが、結局個人的には「カプリッチョ」の悪印象を最後まで引きずった形となりました。

7/12 Sat 15:00 ザ・シンフォニーホール
スラットキン リヨン管 五嶋龍(vn)
キャンディード序曲
スペイン交響曲
サン=サーンス交響曲第3番 オルガン付き
[アンコール]天国と地獄序曲〜後半

3階バルコニーのD席(最低ランク)を買ったんですが、それでも9000円(最高は18000円)というコンサート。アメリカ人だからってことでしょうか、最初はキャンディード序曲。ただ、スラトキンは佐渡さんみたいなイケイケじゃなくて、走らず、エスプレッシーヴォせず、弦は軽く透明で、きっちり端正な演奏。これってこういう曲か?と言われると考えてしまいますが、上質の音楽ではあると思いました。
スペイン交響曲五嶋龍さんは文句なしにうまいですね。ただ、龍さんもオケもとてもきまじめな音楽作りだったので、ブラームスとかショスタコーヴィチとかのほうが合ってたかも、とか思いました。
サン=サーンスも良かったです。音色もきれいでバランス良く、気品のある演奏。ただ、チラシとかにオルガン奏者の名前が書いてなかったのは手落ちですね。1000円の有料プログラムを売るのは別にいいですが、それを買わないとオルガニストの名前さえわからないというのはどんなもんでしょう。名古屋・横浜・東京での同曲は石丸由佳さんという人でした。
アンコールは、天国と地獄序曲の後半。スラトキンは客席を指揮してラデツキー行進曲ばりに手拍子を求めていました。それでも音楽はとても上品というのが妙にアンバランスで面白かったです。