12/4 レニングラード国立歌劇場『エフゲニー・オネーギン』

チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』
2009年12月4日(金)18時30分
兵庫県立芸術文化センターKOBELC0大ホール

〈キャスト〉
タチャーナ…アンナ・ネチャーエワ
エフゲニー・オネーギン…アレクセイ・ラブロフ
オリガ…マリーナ・ピンチューク
レンスキー…ドミトリー・カルポフ
ラーリナ…ヤナ・コルシコワ
フィリーピェヴナ…ナタリア・ビリュコーワ
グレーミン公爵…ユーリー・マンチャーク
トリケ…アレクセイ・クリギン
ザレツキー…アントン・プザノフ
中隊長…ヴャチェスラフ・カリュジニー

ペテル・フェラネツ指揮
レニングラード国立歌劇場管弦楽団
レニングラード国立歌劇場合唱団
レニングラード国立歌劇場バレエ

 ちょっと前ですが、これに行ってきました。この歌劇場の名前、2007年までムソルグスキー記念というのが付いてたんですが、今はミハイロフスキー劇場だけになったそうです。いつまで「レニングラード」とか使ってんだと思ってましたが、こんなにしょっちゅう変わるんなら、慣れ親しんだ古い名前を使い続ける方が便利かもしれません。

 ごらんの通り、歌手は全然知らない人ばかりです。91年に「オネーギン」と「ボリス」を見たときは、ボガチェーワなんかもいたんですが、今回はチラシにも指揮者のフェラネツと演出のガウダンシンスキー以外の名前は載ってませんでした。ところが今回、一番良かったのが歌手でした。

 特にオネーギン役のラブロフは、声もいいし演技力もあるし、この人はいいと思います。検索しても全然情報が出てこなかったんですが、何とこの人、今年の8月に「オブラスツォワ記念若いオペラ歌手コンクール」で3位入賞という新人のようです。

http://www.obraztsova.org/HTML/RUS/7competitionrezults.html

タチャーナのネチャーエワはちょっとおとなしめですがきっちり歌ってて好感を持ちました。オリガのピンチュークも良かったです。レンスキーやグレーミンは、悪くはないけど多少癖がある感じ。合唱はさすがの迫力と美しさですね。

フェラネツの指揮は、歌うところをきれいに歌わせる柔らかい指揮で、すごく個性的ということもないんですが実力ある人だなと思いました。オケはいまいちで、管に多少のミスがあるのはまあ仕方ないとしても、チェロとか明らかに音が揃ってなくて(人数が少ないせいもあると思いますが)残念でした。

演出は91年に見たのとほぼ同じです。多少細部は変わってたのかもしれませんが、そんなに細かいところまで覚えてないんで…。オネーギンでは、チェルニヤコフによるボリショイの新演出が非常に面白いんですが、ガウンダシンスキーの演出は、衣装や登場人物の性格は伝統的な解釈を踏襲しています。この演出の特徴は美術というか舞台装置です。舞台上に家や柱を立てるということがほとんどなく、何か文字をちりばめたレースっぽいカーテンを吊して、それを広げて壁に見立てたり、絞って柱や立木(白樺っぽく見える)に見立てたりというこの演出、見た目も美しいし、たぶん安上がりだし、よく出来てますね。