北米オケの音楽監督候補たち(1) ナイアガラ響

 以前2回ほどとりあげたことがありますが、北米のオケでは、音楽監督を選ぶのに、候補者を何人かに絞り込んだらその時点で名前を発表してしまって、1〜2年かけて客演してもらってオープンに選考するというやり方が広がっているようです。これは、将来性のある指揮者を知る格好の機会でもありますし、なかなか面白いんじゃないかと思います。今やってるところはないかなと探してみたら、結構たくさんありました。ブックマークの方に載せてますが、ちょっと紹介してみたいと思います。

まずはカナダのオンタリオ州セント・キャサリンズ市にあるナイアガラ響です。ここを最初に取り上げる理由は、まあ単に最初に見つかったからなんですが、名前がいいですよね。セント・キャサリンズは人口12万、広域で37万という都市で、名前の通りナイアガラの滝から15分ほどのところにあります。100人を超える応募者から選ばれたのは次の4人で、この4人は、2009年秋から2010年5月までの期間、ナイアガラ響と Masters(通常のプログラム)及び Pops の2回の演奏会を振るほか、プレトークなども行います。Masters には T. Patrick Carrabre の Chase the Sun という曲が課題曲として設定されていて、4人の演奏を聞き比べることができます。

ジョン・モリスラッセル John Morris Russel

クリーヴランド生まれ、2001年からオンタリオ州ウィンザー(Windsor)響音楽監督を務め、Ontario Lieutenant Governor’s Award for the Arts を2度受賞するなど高く評価されています。またニューヨーク・フィルなど北米各地のオーケストラに客演しています。1891年にダムロッシュが始め、バーンスタインによって有名になった "LinkUP!"という教育コンサートのシリーズがカーネギーホールで行われているのですが、ラッセルはこれを担当して13年目になります。

ティモシー・ハンケウィッチ Timothy Hankewich

http://www.youtube.com/watch?v=169E0CEVFA4
ニールセン:交響曲第2番第3楽章より

ブリティッシュ・コロンビア州ドーソン・クリーク Dawson Creek 生まれ、アルバータ大学で音楽を学び、インディアナ大学で博士号を取得、現在シーダー・ラピッズ Cedar Rapids 響音楽監督の3シーズン目。カンザスシティ響のレジデント・コンダクターを7シーズン務めた。アスペン・コンダクティング・アウォード受賞。客演したオケはインディアナポリス響、クリーヴランド室内管、オレゴン響、ヴァンクーヴァー響、中国放送響など。

ブラッドリー・サチャック Bradley Thachuk

http://www.youtube.com/watch?v=_kXqgng_y1o
エルガー:『謎』変奏曲〜ニムロッド

トロント生まれのサチャックは、現在、米インディアナ州フォートウェイン・フィル Fort Wayne Philharmonic 副指揮者及び同ユースオケ音楽監督ですが、北米だけでなく東欧などでも活躍しているようで、エストニアでモスクワ室内管を振ったりしています。2007年9月にはセントルイス響で、到着が遅れた音楽監督デイヴィッド・ロバートソンの代役で、シーズンの最初のコンサートを指揮しました。

ダイアン・ウィットリー Diane Wittry

カリフォルニア生まれの女性で、ペンシルヴァニア州アレンタウン Allentown 響音楽監督を1995年から、2002年からノーウォーク Norwalk 響音楽監督を務めていて、CDや、"Beyond tha Baton" という著書も出しています。Wikipediaにも項目があります。極私的百科全書さんによると、以前堺に住んでいて、2006年には大阪シンフォニカーを振りに来てたとか。