京都をイメージとした作品 from ピッツバーグ

「京都をイメージをした作品」というと、かつて京響が委嘱して毎年第9の前にやってたシリーズ(今考えるといい曲が多かったような)の印象が強いですが、ちょっと意外なところから新作が出てきました。

曲のタイトルは《京都 ― 心の反映》("Kyoto -- Reflection of the Mind" )、打楽器、ヴァイオリン、室内管弦楽のための作品で、作曲者はティモシー・K・アダムス Jr. (Timothy K. Adams Jr.)という人です。このアダムス氏、実はピッツバーグ交響楽団ティンパニ奏者で、2001年にヤンソンス指揮の日本ツアーで京都を訪れた際(と書いてあるのですが、2001年にヤンソンス指揮ピッツバーグ響は来日してないので。2002年2月のツアーのことでしょうか)、京都が非常に気に入って、まずは3年前にヴァイオリンと打楽器のための曲を作曲しました。そして今回、それを3楽章に拡大し、室内管弦楽を加えた作品にしたとのことです。初演は今年の5月15日にオークランドで、ピッツバーグ響のコンサートマスターでもあるアンドレス・カルデネズ Andres Cardenes の指揮とヴァイオリン、もちろん作曲者自身の打楽器、ピッツバーグ響室内管弦楽団によって行われ、続いて17日にアッパー・セントクレアでも演奏されました。ちなみにプログラムのほかの曲はモーツァルトの協奏交響曲(管楽のほう)とピアソラの《ブエノスアイレスの四季》でした。

曲は京都の一日についての標題音楽だそうです。第1楽章は寺に昇る朝日で、マリンバが朝もやの雰囲気を描写し、そこに独奏ヴァイオリンが入ってきて空高く昇る朝日を表します。弦が入るとそれが朝で、和音の変化によって、姿を現した寺院を作者が見て心に感じた美しさが表現されます。第2楽章は京都のナイトライフの印象で、カルデネズは comic だと言っています。作曲者によると、これは「外から見た印象だ」とのこと。この楽章ではヴァイオリニストがヴァイオリンと打楽器(木魚、ウィンドチャイム、スプラッシュ・シンバルなど)を同時に演奏したりもします。フィナーレは京都からの列車で、二人の独奏者が列車のリズムを描写します。

えー、説明から想像する限り、《乳母車の冒険》とか《グランド・キャニオン》に通じる、由緒正しいアメリカ描写音楽のように思えますね。京響のシリーズとはだいぶ毛色が変わっているようですが、面白そうなので、機会があれば聞いてみたいものです。

Pittsburgh Tribune