2014年9月のコンサート

9/13 Sat 15:00 兵庫県立芸術文化センター
佐渡裕指揮 PACオーケストラ
シューベルト:未完成
ブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」

今シーズン最初の演奏会。23人新メンバーが入ったそうです。チェロのパートは外国人が半分以上でした。佐渡さんのブルックナーって聴いたことないなあと思ったら、日本でブルックナーを振るのは初めてだそうです。とはいえ、ヨーロッパでチェリビダッケや晩年のカラヤン、最近ではバレンボイムなどがブルックナーを振る演奏会のリハーサルには何度も立ち会ってるとのこと。

シューベルトの未完成は、アーノンクールだとかクライバーみたいに伝統的な演奏の逆を行こうという演奏も多い昨今ですが、佐渡さんは、ロマンティックでとても美しい演奏。正直、こういう演奏好きです。

ブルックナーは、クライマックスでの爆発的な強奏とか、速めのテンポとかに佐渡さんらしさを感じましたが、いわゆるブルックナーらしさを壊してしまうほどではなく、ホルンが音程を何度か外してたとかを除けば(まあこれは仕方ないですが)、良い演奏だったと思います。これは、ブルックナーではここまではやってもいいけど、これ以上やっちゃだめというのを佐渡さんがちゃんと知っているからということだと思います。ただ、多少窮屈そうな印象を感じたのは私だけですかね。佐渡さんの演奏会は、もっと派手に感情を爆発させられるような曲の方がやっぱり楽しいです。

9/25 Thu 19:00 ザ・シンフォニーホール
ハインツ・ホリガー指揮 日本センチュリー響
ハイドンオーボエ協奏曲
シューマン交響曲第1番「春」
ヴェレシュ:バルトークの思い出に捧げる哀歌
バルトーク:二つの映像

ハイドンは全然ハイドンっぽくないけれど、かといってモーツァルトでもベートーヴェンでもない曲。気のせいかもしれないですが、ちょっと質は落ちる感じです。ホリガーはうまいですね。相当な年ですが、全然衰えを感じさせません。あの飄々とした音、鮮やかなテクニックは健在です。カデンツァはなんか前衛的な即興でもやってくれるかと思いましたが、普通でした。
シューマンの春は、いきなり最初のファンファーレが三度下で驚きました。初稿だったようです。序奏から速めで、全体で30分ほどの演奏でした。シューマンらしからぬ、すっきりと見通しの良い音作りが面白かったです。オーケストレーションは特にいじってなかったと思うんですが(自信ない)管楽器をかなり意識的に目立たせていたように思います。
オーケストレーションはそのまま?
後半はハンガリー音楽2曲。ヴェレシュははじめて聴きましたがいい曲ですね。バルトークは初期作品の「二つの映像」ですが、この人得意の緩急2楽章構成の曲です。2曲目の舞曲風の曲で、全然燃えない冷静な演奏なのが面白かったですが。これは曲のせい?それとも演奏のせい?


9/26 Fri 19:00 フェスティバルホール
大植英次指揮 大阪フィル
マーラー交響曲第6番

大植さんが監督在任時に振ったこの曲は非常にいい演奏でしたが、今回は全然違ってました。5番や9番は極端に遅いテンポで物議を醸した大植さんですが、今回は細部のデフォルメが凄かったです。数え上げたらきりがないし、詳しくは覚えてませんが、特に、第2楽章トリオ、弦がコルレーニョで伴奏する不気味なワルツ、あれの冒頭を思い切り溜めてアンニュイな感じを出していたのとか、第3楽章でハープを異様に強調していたのとか、二度めのカウベルのあとかなりテンポを速めていたのとかは印象に残っています。
で、肝心なのは全体としていい演奏だったかどうかです。私は大植支持です。この演奏、非常に好きです。5番のときは、「こういうのも面白いじゃん」でしたが、今回はもっと積極的に支持です。


9/27 Sat 14:30 京都コンサートーホール
ドミトリー・リス指揮 京都市交響楽団 川久保賜紀(vn)
ブラームス:悲劇的序曲
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
[アンコール]バッハ:パルティータ第3番〜ブーレ
ストラヴィンスキーペトルーシカ(1911年版)

川久保さんのヴァイオリン、良かったです。やや遅めのテンポで、ポルタメントなんかもかけてとても情感豊かな演奏でした。第1楽章のコーダで弦が切れるアクシデントがあって、コンマスのヴァイオリンを借りてからはちょっと弾きづらいのか、音が伸びない感じだったのはちょっと残念。リスの指揮は、カデンツァ前のトゥッティで加速したり、2楽章でもトゥッティを速めにやったり、なかなか効果的に引き締めてました。3楽章かなり速いテンポで会場は大盛り上がり。アンコールは短い曲ですが、いいですね。
ペトルーシュカはちょっと珍しい初稿。太鼓は舞台裏に置いていました。要所で加速して緊迫感を演出したり、こちらも良かったです。